おぉきにおぉきに。

京都盆地の南の端っこでのんびり暮らす主婦のつれづれ。

『ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン』を読みました。

 

『ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン小路幸也 著(集英社)

はー……もうシリーズも17作目ですか~~……私とこのシリーズのお付き合いもそれくらいになるんですね……そりゃ年取りますわ。

ぴちぴちの小学生だった花陽ちゃんと研人くんもすっかり大人になって。冗談じゃなく親戚のおばちゃんの気分ですよ。

シリーズが長くなって登場人物も増えに増えて、堀田家と愉快な仲間達はどんどん裾野が広がってますが、シリーズを最初から順に読んでいれば大丈夫、長年もファンもご新規さんもみんな一緒に、堀田家と共に生きていきましょうね。

 

……ていうかね、堀田家の面々も増えたし、ご近所さんとの付き合いが深くなってきて仲間達になって、うん、いくら広い家でもさすがに一軒じゃ無理ですね。藤島ハウスがあって良かったー!

藤島ハウスが完成したのはわりと最近のことで(シリーズ全体から見て)、藍子さんとマードックさんがイギリスに行くお話の時もそうでしたけど今回もお部屋シャッフルの大引っ越しのところ、ほぼパズルですよねw

堀田家の見取り図があった頃の記憶と、藤島ハウスの見取り図イメージを突き合わせて、それを脳内でドラマ版キャストがわらわら大騒ぎする私の脳内です。ああでもドラマでは花陽ちゃんと研人くんがまだ小さかったので!日テレさん、ドラマのシーズン2やりませんかーー。2クールくらいで。

 

それにしても、いつにも増して優しい最新作でしたよね……。ワンコとにゃんこまで優しいんですよ……猫さんたち誰も他所の人に威嚇しないのすごい……。

 

この最新刊は、「母」「女性」がテーマなんですね。『レディ・マドンナ』のときは若い藍子さん亜美さんすずみちゃんでしたけど、今回は堀田イズムを確立した女性たち。

サチさんはもちろん、先代の美稲さんや、秋実さんかずみちゃん、池沢さんも。親戚になったイギリス人のメアリーさんも。

大きく柔らかく深く明るく優しく、強く揺るぎなく凛とした、母たち。

堀田家の男性陣が、心から伴侶を母を愛したからこそ。

青ちゃんが池沢さんにかけた言葉で涙腺崩壊しました。

池沢さんの人生が何一つ間違ってなかったってことですよね。よかったですね、我南人さん池沢さん。

 

見えない存在になっても、家族を見守ってる。そして、不意に、思いもよらないところから声を聴けることもある。

旅立ちも、別々の暮らしになっても、毎日お母さんのつくってくれるご飯を食べられることも、みんな人生の環の中にある。始まりがあって終わりがあることをLOVEと呼ぶ堀田家。

 

どれだけ徳を積んだら、堀田家のような家族のいる世界にいけるのかな。

などと時々思います。

じゃあ自分が作りなさいよってことなんですけど、こんな難易度の高い話ありますかっての。徳どころじゃないよ、何回生まれ変わったらいいのか、もう仙人になる手前くらいの魂でないと無理かもしれない。

 

妻を見送った勘一さん我南人さんの慟哭はどれほどだったのか、病気で弱っていくかずみちゃんのことを知った勘一さんの寂しさ、元気だった頃の母の声を聴いて涙ぐむ紺さんと離れる母を見送る青ちゃんの心。

自分と同じこの日常に、妻は母はもういないことの生涯消えない不完全さを、きちんと生きていくことで埋めていく勘一さんたち。

前を向いて、背筋伸ばして、カッカッと笑いながらきちんと生きていってくれることが母の願いなんでしょうね……私は母親になったことがないので実感としては言えないんですけど。

サチさんも、秋実さんも、幸せな女性ですね。池沢さんも。

 

諦めず投げ出さず、ちゃんと話をして、あるがままを受け入れて、きちんと生きていくこと。生きていけばこそ、ですねサチさん。

 

今回、木島さんが出てこなかったのがちょっと寂しい(笑)

茅野さんもセリフは無かったけど大掃除には来てくれたので。また事件絡みでお世話になることもあるかな。

というか、今回はなんだか物騒な話も堀田家危機一髪な展開もなくて、静かに優しく時が過ぎて。

美しい青年のくだりはもう読者はどの俳優さんを脳内で充てるのか、うん、春のお祭りができなかった代わりに個人的にアンケート企画みたいなのやりたくなりましたw

だからやっぱり、ドラマのシーズン2やりましょうよ日テレさん。イケメンがどばどば出てくるドラマになるから、視聴率獲れるよ。(もうテレビの視聴率もあてにならんと言うか意味ないような気もするけど、スポンサー的にはまだそれなりに大事なんでしょう)

 

会うは別れの始まり、別れは出会いの始まり。

生きることはいつか死ぬこと。ひとつの人生が始まって閉じてその記憶が降り積もるからこそ、世界は豊かに輝き続ける。

 

現実世界では、侵略する国される国、恫喝する国と反撃する国、無邪気に喜ぶ人に祝福を贈る人と冷や水をぶっかける人、デマ流す人とデマを叩き潰す人、ありようを認める人と拒絶する人、いろいろです。苦しいことも悲しいことも楽しいことも嬉しいことも、凄惨な戦場も平和な国もある、そういう対立ぜんぶひっくるめて、世界です。

私は、大きく柔らかく深く明るく優しく、強く揺るぎなく凛とした、そんな世界になってほしい。

LOVEで生きる世界にしたい。

難易度めっちゃ高いけど。

お手本はあります。堀田家です。

見よう見真似でいいから、いつか勘一さんたちと一緒にカッカッと笑えるように、きちんと生きていきたい。

きっと、よく来たな、まぁ上がって飯食べていきな、って勘一さんに言ってもらえるまでになったら、わたしのこの人生もあがりなんだろうなと思います。次は仙人になります(笑)

その日まで。

私はずっと堀田家の物語とともに、笑って泣いて頑張ります。

 

毎年四月にこのシリーズの最新刊が読めることの幸せと感謝が、小路先生に届きますように。

ありがとうございました。